パルプ・フィクション伝説のレストラン!撮影秘話とロケ地の真相
結論から明かすと、映画の象徴である「ジャック・ラビット・スリムズ(Jack Rabbit Slim's)」というレストランは実在しない。ロサンゼルスのどこを探しても、あの店で5ドルのシェイクを注文することは叶わないのだ。
あの絢爛豪華なノスタルジー空間は、カリフォルニア州カルバーシティにあったスタジオの広大な倉庫内に建てられた巨大なセットだった。制作費わずか800万ドル強という当時の規模において、美術監督のデヴィッド・ワスコ率いるチームは、限られた予算の実に約15万ドルをこの単一セットの構築に注ぎ込んだ。50年代のポップカルチャーをこれでもかと凝縮したインテリア、ヴィンテージのポスター、映画黄金期のポスターカラーを模したネオンサイン。すべてはタランティーノの脳内に渦巻く偏愛を具現化するためにゼロから生み出された虚構である。
外観の撮影にのみ使われたのは、カリフォルニア州グレンデールに現存していた「グランド・セントラル・ボウル」というボウリング場の建物だ。ミッドセンチュリー特有のレトロフューチャーな建築様式が採用され、ネオンサインを取り付けることで架空のドリームダイナーが完成した。映画が放つあまりのリアリティゆえに、公開当時は「実際に営業している店ではないのか」と地元紙に問い合わせが殺到したという逸話も残る。