「琴線に触れる」は怒りではなく大感動!誤用の真相と語源を徹底解説
誤解をきれいに解消するために、言葉のルーツに目を向けてみましょう。そもそも「琴線」とは、古代中国の伝統的な弦楽器である「琴(きん・こと)」に張られた弦のことです。
琴の弦は、指先で触れるだけで繊細で美しい音色を響かせます。そこから転じて、「外部からの素晴らしい刺激(美しい音楽、情熱的な言葉、心揺さぶる芸術など)を受けて、敏感に感動する人間の心の奥底」を、琴の弦にたとえて「琴線」と呼ぶようになりました。外部の素晴らしい出来事に心が震える状態を「琴の弦が触れ合って美しい音を奏でる」と描写した、極めて情緒豊かなメタファーなのです。
また、近代の文学作品などでは同義の表現として「心琴(しんきん)に触れる」という言い回しが使われることもありました。人の心の中にある琴=心琴であり、どちらも「心の最も純粋な部分が震えて感動する」という本質は全く同じです。語源の成り立ちを知れば、「怒り」という荒々しい感情とは無縁の言葉であることがよく分かります。