毒舌大僧正・今東光の真実!直木賞作家が『悪名』に込めた慈悲
今東光の作家人生を語る上で絶対に外せない金字塔が、大阪・八尾の河内平野を舞台にした『悪名』だ。荒くれ者だが義理人情に厚い「朝吉」と、弟分の「モートルの貞」が織りなす痛快無比なピカレスク小説は、週刊誌連載時から爆発的な人気を獲得した。
この傑作を映画会社の大映が見逃すはずはなかった。映画化にあたり、主人公の朝吉役に抜擢されたのが若き日の勝新太郎である。泥臭くも圧倒的な色気を放つ勝新太郎の演技と、田宮二郎演じる清次の絶妙なコンビネーションは日本映画の歴史を塗り替えた。今東光が描いた河内弁のリズムと土着のエネルギーは、大映のスクリーンを通じて全国を熱狂の渦に巻き込んだのである。