『おそ松くん』イヤミの正体と裏設定!シェー誕生秘話やモデルの真相
イヤミを語る上で欠かせないのが「おフランス帰り」という絶対的なアイデンティティですが、作中におけるこの設定は完全な大嘘(ハッタリ)です。
物語の各所で明かされる通り、イヤミはフランスへ渡航した経験など一度もなく、パスポートすら持っていません。それどころか、本名や正確な出自すらも怪しく、原作やアニメの設定資料では本名が「井矢見(イヤミ)」、あるいは「イヤミ・フランス」などと表記されることもありますが、定かではありません。年齢設定はおおむね30代前半から中年の独身男性とされています。
では、なぜイヤミはこれほどまでに「おフランス」に執着するのでしょうか。その背景には、敗戦後の日本社会が抱えていた「欧米への無条件の憧れと劣等感(コンプレックス)」があります。海外旅行が庶民にとって夢のまた夢だった時代、知ったかぶりをして舶来品や西洋文化を鼻にかけるスノッブな大人たちの滑稽さを、赤塚不二夫はイヤミというキャラクターを通じて鋭く風刺したのです。
また、顔の真ん中から突き出た3本の巨大な出っ歯は、赤塚不二夫の「誰が見ても一瞬で覚えられるシルエット」という漫画的記号論から生み出されました。喜怒哀楽の激しい表情とともに動くこの出っ歯は、彼の卑屈さと尊大さを同時に表現する最高の武器となったのです。