「嬲る」の真実とは?弄るとの違いや地域差に潜む日本語の深淵
「男」二人の間に「女」を挟むという、視覚的にも極めて扇情的な字形を持つ「嬲」。その成り立ちには諸説あるが、古代漢字学の巨人である白川静の学説を辿ると、単なる文字遊びではない古代社会の呪術的・儀礼的な情景が浮かび上がる。
古代中国の歌垣(男女が集まり求婚歌を掛け合う習俗)や民間儀礼において、複数の男性が一人の女性を囲んで冷やかしたり、戯れたりする風俗が存在した。この「男女が入り乱れて戯れ合う姿」が文字化されたものが「嬲」であり、逆に女二人が男一人を囲む「嫐(うわなり)」という対の文字も生まれた。時代が下るにつれ、求愛の戯れから「弱い立場の者を嬲りものにする」「いたぶる」といった陰湿で攻撃的な意味合いが濃くなっていった歴史的経緯がある。