「娘が嫌い」と言えない母親たち:家族心理学が示す罪悪感の出口

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母親が同性の我が子に対して抱く激しい拒絶反応の根底には、心理学的な「同一化」と「投影」のメカニズムが存在する。息子に対してはある程度の異質性や他者性を認めやすいのに対し、同性である娘に対しては無意識のうちに「自分の延長」「かつての自分自身の分身」として見てしまいがちだ。この無境界な近さが、摩擦の火種となる。

臨床心理学の研究知見によれば、母親が自身の幼少期に抑圧してきた感情や、受け入れがたいコンプレックス、あるいは果たせなかった自己実現への執着が娘の姿に投影されたとき、激しい生理的不快感や苛立ちが生じやすい。娘の自由奔放さに嫉妬したり、逆に自身の嫌な性格的特徴を娘の中に見出して嫌悪したりする現象は、まさに「自己嫌悪の外部化」に他ならない。

日本家族心理学会をはじめとする研究コミュニティでも、母娘関係における過度の期待と同一視がもたらす機能不全についての議論が深まっている。近代的なファミリー心理学の視座は、母が娘を嫌う背景には個人の資質の問題だけでなく、家制度や性別役割分担によって「家庭内の感情的責任」を一手に背負わされてきた女性たちの構造的疲弊があることを明らかにしている。

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