なぜホラーの象徴に?アイスホッケーマスクの歴史と2026年最新事情
ホラー映画の金字塔『13日の金曜日』シリーズにおいて、殺人鬼ジェイソンといえばアイスホッケーマスク姿が代名詞だが、実は第1作(1980年)にホッケーマスクを被ったジェイソンは一切登場しない。さらに第2作(1981年)のジェイソンは、片目の部分だけ穴を開けた麻袋を頭に被って凶行に及んでいた。
あの象徴的なビジュアルが誕生したのは、1982年公開の『13日の金曜日 PART3』でのことだ。導入された最大の理由は、極めて現実的な「撮影現場の特殊メイクの負担軽減とコストカット」だった。当時の映画はシリーズ初の3D撮影を採用しており、立体映像用のカメラチェックやライティング調整に膨大な時間を要していた。怪異な素顔の特殊メイクを施す作業があまりに過酷だったため、手軽に顔を隠せる覆面が模索されたのだ。
そこで現場の3Dスーパーバイザーであり、自身が大のアイスホッケーファン(NHLデトロイト・レッドウィングスのサポーター)だったマーティン・ジェイ・サドフが、私物のホッケーバッグから取り出したのが古いファイバーグラス製のアイスホッケーマスクだった。監督のスティーヴ・マイナーがテスト撮影でこれを気に入り、額や頬に赤い三角のペイント(シェブロンマーク)を施して採用されたという経緯がある。映画史に残る怪物のアイコンは、偶然と現場の合理化が生み出した産物だった。