なぜアメリカ領に?アラスカ州買収の歴史的真相と極寒のリアル
かつて「氷の塊」と揶揄されたアラスカの経済価値を決定づけたのが、1968年に北極海沿岸のプルドーベイで発見された北米大陸最大規模の油田です。極寒の凍土と険しい山脈を越えて原油を南の不凍港ヴァルディーズまで運ぶため、全長約1,287キロメートルに及ぶアラスカパイプラインが建設されました。永久凍土を融解させないための特殊な高床式設計や耐震構造など、当時の最先端土木技術が結集されています。
この天然資源から得られる莫大なロイヤルティ収入は、州の財政を支えるだけでなく、住民へ直接還元されるユニークな仕組みを生み出しました。それが1976年に設立された「アラスカ永久基金」に基づくアラスカ州住民配当金制度(PFD: Permanent Fund Dividend)です。
州内に1年以上継続して居住し、一定の資格を満たす住民であれば、年齢を問わず赤ちゃんから高齢者まで毎年均等に配当金が支給されます。支給額は基金の運用実績によって変動するものの、1人あたり年間1,000ドル〜3,000ドル超に達する年もあり、4人家族であればまとまった金額を受け取ることができます。州税(所得税・売買税)が存在しないことも相まって、過酷な環境で暮らす住民の生活基盤を支える強力なインセンティブとなっています。