なぜ男たちはピンヒールを履くのか?足元から変わる美の価値観
ハイファッションの潮流もまた、この地殻変動を強力に後押ししている。メゾン・マルジェラはアイコンである「タビ」ブーツでヒールのあるメンズシューズの定番化を成し遂げ、サンローランはエレガントでスキニーなシルエットに細身のヒールを組み込むことで、ロックで洗練された男性像を長年提案してきた。
そして今、ジェンダーレスファッションの波はさらに繊細で攻撃的なピンヒールへと向かっている。こうした需要の急増に対し、かつては対応が遅れていたフットウェア産業も劇的な変化を見せ始めた。27cm〜30cmといった大きめのサイズ展開を標準化し、男性の体重や骨格を支えられるよう強化シャンク(芯材)を内蔵したコレクションが、欧州のみならずアジア圏のブランドからも続々と登場している。