なぜ大人はドラえもん映画で号泣するのか?涙腺を揺さぶる名作解剖
世代を超えたファン投票を行うと、上位に食い込む顔ぶれには明確な共通項がある。単なる痛快な冒険活劇ではなく、「自立」「別れ」「他者への絶対的な無償の愛」を描き切った作品群だ。
筆頭に挙げられるのが『帰ってきたドラえもん』や『のび太のワンニャン時空伝』、そして『鉄人兵団』である。のび太が傷だらけになりながらジャイアンに立ち向かい、「ぼく一人でも勝ったよ」と微笑む夜。人間を敵視していた少女型アンドロイド・リルルが、自己犠牲の果てに見せる涙。それらは大人が社会生活の中でいつの間にか摩耗させてしまった「信じる勇気」や「純粋な痛み」を真正面から突き刺してくる。
ファンが涙するのは、劇中のキャラクターの悲哀だけではない。画面の向こうに、かつて何者でもなかった自分自身の幼少期を見出し、あの頃の無力感と温もりを追体験するからに他ならない。