名作ハイジの真実!高畑勲と宮崎駿が遺した演出革命と最新配信
単なるファミリー・キッズアニメの文脈に収まらない本作最大のクライマックスが、車椅子の少女クララが立ち上がる場面だ。安易な感動の押し付けを極度に嫌った高畑勲は、この瞬間を「突然の奇跡」としては描かなかった。
フランクフルトの閉塞的な屋敷から解放され、アルプスの厳しい自然環境と出会い、ペーターの嫉妬や葛藤に直面し、ハイジの必死の励ましを受ける。肉体的なリハビリだけでなく、クララ自身の「立ち上がりたい」という内面的なエゴと意志が限界まで高まった瞬間を、宮崎駿の計算し尽くされた空間演出が捉える。牛に驚いて咄嗟に足を踏み出すという身体的リアリズムの積み重ねがあるからこそ、あの瞬間のカタルシスは数十年を経てもなお、観る者の涙腺を激しく揺さぶる。