名建築が蘇る阿倍野の隠れ家カフェ!村野藤吾邸で過ごす極上時間
大阪府大阪市阿倍野区松崎町。阿倍野歩道橋から南へ数分歩いた閑静な住宅街の一角に、その建築は佇んでいる。日本芸術院賞や文化勲章を受章し、数々の名建築を世に送り出した村野藤吾。彼が実際に図面を引き、思索を深めた旧村野建築事務所の建屋を舞台に立ち上がったのが「村野藤吾建築再生リノベーションプロジェクト」だった。
空間に足を踏み入れると、村野建築特有の柔らかな曲線美と陰影の妙が視界を満たす。階段の手すりのカーブ、漆喰壁に落ちる光のグラデーション、そして計算し尽くされた窓の配置。株式会社友安製作所の代表・友安啓則氏の指揮のもと、貴重な建築意匠を極力そのまま保存しながら、現代の感性を違和感なく溶け込ませた。
「古いものをただ博物館のように残すのではなく、人が集い、飲食を楽しみ、日常の中で使い続けることでしか守れない価値がある」。取材陣に語られたその言葉通り、壁の傷ひとつにも半世紀以上の記憶が刻まれ、訪れる者を無言のうちに包み込む。