両国の星付き名店「ほそ川」が放つ十割蕎麦と穴子天の圧倒的引力
運ばれてきた「せいろ」は、淡い緑がかった透明感のある美しい麺がざるの上に美しく盛られている。まずはつゆをつけず、そのまま数本手繰る。冷水でキュッと締められた麺が舌の上を滑り、噛み締めた瞬間にナッツを思わせる豊かな甘みと野性味ある穀物の香りが鼻腔を一気に突き抜ける。
続いて、漆黒のつゆに蕎麦の先を三分ほど浸してすする。江戸前の伝統を受け継ぐ辛口のつゆは、熟成された本枯節の出汁が力強く効いており、蕎麦の甘みをこれ以上ないほど引き立てる。薬味の辛味大根や本わさびも鮮度抜群で、風味に鮮やかなアクセントを添えてくれる。締めくくりに供される白濁した濃厚な蕎麦湯を注げば、出汁の旨味がふわりと広がり、最後の一滴まで陶酔感に浸ることができる。