裏千家十六代・千宗室が明かす茶の湯の真髄と革新的な未来像
裏千家の象徴である茶室「今日庵(こんにちあん)」。「今日という日を精一杯に生きる」という禅の言葉に由来するこの場所には、安土桃山時代から続く美意識が隅々にまで息づく。開祖・千利休が侘び茶を大成して以来、その教えは幾多の時代変化を乗り越え、脈々と受け継がれてきた。
前家元である十五代・千玄室氏が「一碗から世界平和を」と掲げて世界各国を駆け巡った足跡は広く知られている。その偉大な父の背中を見つめながら、十六代千宗室家元は自らの代における「茶の道」を模索し続けてきた。変えてはならない精神の根幹と、時代に合わせて脱皮すべき外形。今日庵の静けさは、過去の遺物を保存する博物館ではなく、生きた哲学を生み出し続ける実験室のような緊張感を帯びている。