『こころ』夏目漱石の名言が刺さる理由「先生」の遺書とエゴの深層
「自由と独立と自立とに充ちた現代に生まれた我々は、その犠牲としてみんなこの寂しみを味わわなければならない」という一文は、まさに個の時代を生きる現代人への予言と言える。漱石は、近代社会がもたらした「自由」が、裏を返せば極限の孤立であることを看破していた。
選択肢に溢れ、あらゆる縛りから解放されたはずの現代において、SNS空間を漂う人々が抱える原因不明の寂しさ。それは100年前に先生が遺書に認めた孤独と驚くほど地続きである。自由を手に入れた代償として私たちが失ったものは何か。この問いは、今を生きる私たちに突きつけられた課題でもある。