カレーを混ぜて食べるのは下品?マナー違反論争の真相とプロの結論
日本国内で「混ぜるのはNG」とされる一方で、カレーの源流である南アジア圏に目を向けると、全く逆のルールが存在します。ここを混同することが、食べ方マナーに関する誤解を生む最大の原因です。
代表的な例がスリランカカレーです。近年日本でも専門店が急増しているスリランカのプレート料理は、中央のライスを囲むように、豆カレー(パリップ)、チキンや魚のカレー、ココナッツのふりかけ(ポルサンボル)、水菜や青菜の炒め物(マッルン)など多彩な副菜が美しく盛り付けられています。この料理は、「複数のカレーと副菜をご飯の上で少しずつ混ぜ合わせ、味の変化を楽しみながら食べる」ことが前提で設計されています。単体で食べるのではなく、混ぜる比率を変えることで生まれる重層的なスパイスの調和こそが真骨頂なのです。
また、南インドの定食「ミールス(Meals)」も同様です。バナナの葉やステンレスの大皿(ターリー)に盛られたサンバール、ラッサム、各種ポリヤルを、手やスプーンを使ってライスの上で自在に混ぜ合わせて食します。「混ぜるほどに美味しくなる」のが南インドやスリランカの料理哲学であり、ここでは混ぜないことのほうが料理の魅力を損なうことになります。
ただし、北インドの濃厚なバターチキンカレーなどをナンにつけて食べるスタイルでは、全体を混ぜるという概念自体がありません。一口ごとにナンをちぎり、適量のカレーをすくって食べるのが基本です。このように、同じ「カレー」という名前であっても、発祥国や料理の設計思想によって正しいマナーは180度異なるのです。