巨匠タランティーノと「足フェチ」描写、映画史を揺るがす演出美
タランティーノの足元描写を語る上で欠かせないのが、代表作『キル・ビル』における壮絶な復讐劇だ。主演を務めたユウマ・サーマンが車中で見せる「足の親指を動かせ」という象徴的な独白シーンは、身体の麻痺から生への執着を呼び起こす見事な名シークエンスとして刻まれている。あのクローズアップは、人間の肉体が持つ生命力を最も直接的に象徴する映像的試みであった。
その美学は時代を経てさらに洗練され、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で一つの頂点に達する。マーゴット・ロビーやマーガレット・クアリーが見せる、ダッシュボードに乗せられた足や映画館の座席で見せる素足の表情は、1960年代末ハリウッドのヒッピー文化と解放感を狂おしいほどのノスタルジーとともに描き出した。肉体の特定のパーツをカメラが捉えるとき、映画は言葉以上に饒舌にその時代の空気を伝えてみせる。