カミソリ後藤田正晴に学ぶ国家危機管理!なぜ今その決断が響くのか
自由民主党内において、後藤田の立ち位置は常に独特だった。田中派に属しながらも派閥の論理に埋没せず、金権政治や右傾化に対しては党内から容赦ない苦言を呈した。
特に自衛隊の海外派遣や安全保障政策をめぐる議論において、自らの戦争体験を背景に「蟻の一穴」を警戒し続けた姿勢は有名だ。軍事力行使への慎重論を崩さず、憲法精神の遵守と文民統制の徹底を求め続けた姿は、時に「ハト派の重鎮」とも評された。だが本人は決して護憲運動家ではなく、極めてプラグマティックに「日本の地政学的限界」を計算し尽くした結果の判断であった。
政治・行政の双方を極めた男が残した教訓は重い。国家権力は強大であるからこそ、行使する側には冷徹なまでの自制心が求められる。この戒めは、ポピュリズムが席巻しやすい現代政治において、重い問いを投げかけている。