シャンプー後もなぜ臭う?皮膚科学が解き明かす頭皮臭の新事実
「しっかり洗っているのに夕方になると脂くさい」。この現象の背後には、皮膚科学が解明を進める皮脂膜の変質プロセスが存在する。人体のなかでも頭皮は、顔のTゾーンの約2倍以上もの密度で皮脂腺が密集する極めて特殊なエリアだ。分泌されたばかりの皮脂そのものは本来、無臭に近い。しかし、分泌から半日ほど経過した皮脂が紫外線や空気中の酸素、皮膚表面の酵素と接触することで、劇的な化学変化が起こる。
皮膚上で生じる過酸化脂質への変質。これこそが、夕方に突如として発生する悪臭の正体だ。シャンプーのすすぎ残しが毛穴を塞ぐ物理的トラブルも一因には違いないが、より根本的な引き金は、日中の活動時間帯に分泌された皮脂が刻一刻と酸化していくスピードにある。皮脂は分泌後およそ4時間から6時間で酸化が始まり、夕方頃に揮発性の刺激臭へと昇華する。朝に完璧な洗髪を行っても、夕刻にニオイがぶり返すのはこの生化学的なタイムラグが原因である。