封印された悪魔のウイルス:厳重保管の天然痘と迫り来る流出危機
本格的な地球規模の反撃が始まったのは、世界保健機関(WHO)が1967年に世界天然痘根絶計画(SEP)を本格始動させてからだ。患者の早期発見と接触者を網の目状に隔離・ワクチン接種する「封じ込め戦略(リング・バクシネーション)」が世界各地で徹底された。
1977年10月、ソマリアの病院で調理師を務めていたアリ・マオ・マーリンが自然感染による最後の患者として記録された。彼の手厚い隔離と周辺住民への集中接種が成功したことで、連鎖は完全に断ち切られた。そして1980年5月、WHO総会において地球上からの根絶が正式に宣言されたのである。