安野モヨコが紡ぐ渇望と生の美学、今明かされる愛と創作の全貌
講談社の少女漫画誌『なかよし』で連載された『シュガシュガルーン』は、彼女のクリエイティビティの幅広さを証明する決定打となった。魔界からやってきたショコラとバニラが、人間のハート(感情)を集めて女王の座を競い合うマジカルファンタジー。一見すると王道の少女向け作品でありながら、底流には他者の感情を奪うことの重みや、嫉妬、嫉視、愛といった感情の複雑怪奇さが容赦なく織り込まれている。
当時、青年誌や女性誌でのハードな連載と並行して進められていた本作の現場では、極限のスケジュールの中で驚異的なディテールへのこだわりが貫かれていた。衣装のデザイン、小物の質感、魔法の呪文に至るまで、一切の手抜きを許さない職人的な執念。子ども扱いしない真摯な物語作りこそが、当時の少女たちに深い爪痕を残し、大人になった今も愛され続ける理由に他ならない。