トウモロコシ宇宙人起源説の真相|自生不能の謎とマヤ神話を追う
オカルト的な推測が飛び交う一方で、現代の植物遺伝学と考古学は、トウモロコシのルーツについて極めて明快な答えを出しています。トウモロコシの直接の祖先は、メキシコ・バルサス川流域に現在も自生している「テオシント(Teosinte)」という名の野草です。
テオシントの姿は現在のトウモロコシとは似ても似つきません。小指ほどの小さな穂に、わずか5〜12粒程度の硬い種子が1列に並んでいるだけで、硬い殻に覆われていてそのまま食べることも困難な植物です。このみすぼらしい野草から、数百粒の実がぎっしり詰まった現在の巨大なトウモロコシが生まれたという事実は、一見すると遺伝子のオーパーツのように思えます。
しかし近年のゲノム解析により、側枝の成長を抑える遺伝子(tb1)や実の殻を柔らかくする遺伝子(tga1)など、わずか数個の主要遺伝子の突然変異が関与していることが判明しました。約9000年前のメソアメリカ先住民たちは、偶然生じた扱いやすい変異株を見逃さず、何百世代、何千年にもわたって気の遠くなるような選抜交配を繰り返しました。トウモロコシの奇跡的な姿は、宇宙人の科学力ではなく、古代先住民の執念とも呼べる農業技術の結晶です。