男女7人を彩った石井明美「Cha-Cha-Cha」の衝撃と真実
当時、ソニー・ミュージックエンタテインメント(当時のCBS・ソニー)の制作陣が直面していた最大の課題は、「このダイナミックな楽曲を誰に歌わせるか」という点だった。既存の有名アイドルや実力派シンガーではなく、白羽の矢が立ったのは、銀座のクラブで歌っていたところをスカウトされた新人の石井明美だった。
彼女の持つ乾いた質感のハスキーボイスは、湿っぽくなりがちな日本の歌謡曲の情緒を排し、都会的で洗練されたクールネスをもたらした。プロモーションにおいても、あえて過剰なキャラクター付けをせず、圧倒的な楽曲の力とドラマの熱狂にシンクロさせる戦略が功を奏した。結果として、無名の新人がデビュー曲で年間売上トップを奪取するという、音楽産業の歴史に残る快挙が成し遂げられた。