唇を奪い合う首脳たち:ベルリンの壁に刻まれた友愛のキスの真実とは
この決定的な瞬間を撮影したのは、フランスの報道写真家レジス・ボスだった。そして冷戦が終結した1990年、ロシア出身の現代アーティストであるドミトリー・ヴルーベリが、崩壊したベルリンの壁にその写真を巨大なグラフィティとして描き出す。彼が付けたタイトルこそが、『神よ, このいまわしき愛の中で生き残れるよう我を助け給え』である。
ドミトリー・ヴルーベリは、独裁者たちの擬似的な「愛」のポーズをキャンバスに拡大することで、それが市民に強いた抑圧と恐怖を強烈に風刺した。愛という名で覆い隠された暴力的な支配。この壁画は完成と同時にベルリンの新たな象徴となり、自由を求めて命を落とした無数の東側市民たちの無言の叫びを代弁する記念碑へと昇華していった。