成田闘争の知られざる真実とは?国家と農民の激突が残した深い爪痕
この戦いの生々しい皮膚感覚を後世に伝えたのは、映画監督の小川紳介率いる撮影隊だった。小川らは三里塚の村に住み込み、農民たちと寝食を共にしながらカメラを回し続けた。そうして生み出された日本解放戦線 三里塚の夏をはじめとする連作は、日本のドキュメンタリー映画史に燦然と輝く金字塔となった。
スクリーンの向こうで、鎖につながれた農婦が涙を流しながら警官を罵倒し、若者が泥にまみれて大地にしがみつく。大新聞やテレビが報じる「過激派の暴徒」という単純な構図とは全く異なる、生身の人間の苦悩と誇りがそこには刻まれていた。現在、NHKアーカイブスなどで当時のニュース映像を目にする機会も増えているが、小川の映像が捉えた圧倒的な肉声と土の匂いは、半世紀を経た今も観る者の胸を激しく揺さぶる。