朝起きると天井が回る?耳鼻科医直伝・めまいを止める耳石置換法
頭の傾きや直線加速度を感知するセンサーとして、私たちの内耳の「耳石器(卵形嚢)」には無数の微細な炭酸カルシウムの粒、すなわち耳石が整然と並んでいる。ところが、加齢や頭部への衝撃、あるいは長時間の同じ寝姿勢などが引き金となり、この粒がポロポロと剥がれ落ちることがある。
剥脱した耳石がリンパ液で満たされた三半規管(後半規管、外側半規管、前半規管)の中へと転がり落ちると、頭を動かすたびに管内で耳石が移動し、リンパ液に異常な水流を作り出す。感覚毛が不自然に揺さぶられ、脳へ「猛烈に回転している」という偽りのシグナルが送られる。これが、静止しているはずの視界がぐるぐると回転する現象の物理的な正体だ。
特徴的なのは、頭を動かした数秒後にめまいが始まり、頭を完全に静止させると1分以内にスッと治まる点にある。動かすたびに再発するため恐怖心は強いが、構造力学的なトラブルであり、適切な重力誘導を行えば短時間で解決できるケースが多い。