平均38万Kmの謎:月と地球の距離が引き寄せる宇宙開拓の未来
地球と月を結ぶ幾何学的な間隔は、平均して約38万4400kmとされる。新幹線であれば約50日間走り続けてようやく到達する果てしない距離だ。しかし、この数値は固定されたものではない。月は完全な円ではなく、微妙な楕円軌道を描いて回っている。そのため、最遠点では約40万5000kmまで離れ、最近点では約36万3000kmまで接近する。この約4万kmもの振れ幅こそが、夜空に見える月の大きさが変わる物理的カラクリだ。
さらに不可思議なのは、月が毎年およそ3.8cmという一定の速度で地球から遠ざかっているという事実である。人間の爪が伸びるのと同等という一見わずかなペースだが、途方もない時間が経過すれば無視できない変化となる。この現象を引き起こしている主犯が、海洋の満ち引きを生み出す潮汐力だ。地球の海水が月の引力に引っ張られて膨らみ、その膨らみが地球の自転に伴って月を前方へと引っ張る。結果として月は運動エネルギーを得て、ゆっくりと高い軌道へ、すなわち遠くへと押し出されているのだ。