氷の世界が暴く愛と疑惑の深淵!保険金殺人の真相と戦慄の結末
物語の主軸となるのは、私立女子高校の教壇に立つ美しき教師・江木塔子の周囲で次々と発生する不審死事件だ。婚約者たちが相次いで巨額の生命保険に加入した直後に命を落とすという、あまりにも不気味な暗合。5年間に3件、受取人はすべて彼女。状況証拠は彼女が冷酷な毒婦であることを雄弁に物語っていた。
外資系保険調査員・廣川英器は、会社の利益を守るために塔子の身辺調査を開始する。だが、調査が進むにつれて浮かび上がるのは、金銭目的の殺人犯という紋切り型の偶像ではなく、深淵のような孤独を抱えた一人の傷だらけの女性だった。
物語全編に張り巡らされた伏線は、最終局面に向けて驚異的な密度で回収されていく。事故死と見せかけた偽装、すれ違う証言、そして過去のトラウマ。犯人の動機は、単純な物欲や憎悪などではない。それは歪み切った愛情の終着駅であり、誰にも予測できない悲劇的な盲点に隠されていた。すべてが氷解した瞬間、残されるのはカタルシスではなく、胸を締めつける切なさと人間の弱さに対する深い戦慄である。