八つ墓村にスケキヨはいない?国民的勘違いの真相と怪奇の系譜
では、本来の『八つ墓村』の象徴とは何なのか。それは白マスクではなく、漆黒の夜闇を疾走する「田治見要蔵(たじみ ようぞう)」の狂気に満ちた姿である。
戦国時代に村人たちによって惨殺された8人の落武者の祟りが囁かれる山村。そこで巻き起こる大量虐殺の記憶。頭の両側に2本の懐中電灯を角のようにハチマキで固定し、絣の着物にゲートルを巻き、日本刀と猟銃を手にした要蔵が桜舞い散る夜に村人を次々と手にかける姿は、映画史に残る屈指のトラウマシーンとして知られる。
昭和初期に実際に起きた「津山三十人殺し」をモチーフにしたこの生々しい暴力描写と土着的な怨念の恐怖は、スケキヨの持つ静的な不気味さとは対極に位置する、動的なパニックホラーの極致だった。