八つ墓村にスケキヨは出ない?国民的誤解の真相と金田一映画の魔力
記憶の混濁には明確な理由がある。1970年代後半、日本中を席巻した横溝正史ブームの熱量は異常だった。テレビCMから流れる「たたりじゃーっ!」という絶叫と、湖から突き出た両足のコントラスト。お茶の間には同時期に、禍々しくも美しい怪奇映像の奔流がこれでもかと叩き込まれた。
人間の記憶は、極端なインパクトを持つ断片同士を勝手に縫い合わせる性質を持つ。頭に二本の懐中電灯を角のように縛り付けて夜道を疾走する殺人鬼と、表情を完全に奪われた白い仮面の男。どちらも同じ名探偵・金田一耕助が対峙した怪異である以上、ひとつの引き出しに押し込められてしまったのも無理からぬ話かもしれない。
とりわけパロディ番組やバラエティの功罪は大きい。コントの中で幾度となく両者の意匠がキメラのように合体され、昭和を知らない若い世代にもその歪んだイメージがそのまま伝播していった。