『バチバチ』佐藤タカヒロの急逝と現在|未完の傑作相撲漫画の真実
『バチバチ』シリーズがこれほど熱狂を生んだ最大の要因は、リアリティと少年漫画の王道が完璧に融合した登場人物たちの造形にあります。
主人公の鮫島鯉太郎は、不祥事を起こして角界を追われ命を落とした元大関「火竜」の息子。周囲の偏見や侮蔑に晒されながらも、弱小相撲部屋である「空流部屋」に入門し、愚直なまでに正面からぶつかる泥臭い相撲で道を切り拓いていきます。
鯉太郎を取り巻くキャラクターも極めて魅力的です。
・白水(しろみず):空流部屋の兄弟子であり、鯉太郎の精神的支柱となる心優しき力士。
・常望山(じょうぼうざん):空流部屋を支えるベテラン力士。挫折と苦悩を知る男の生き様を体現。
・王虎(おうこ):大横綱の息子として生まれ、歪んだ重圧と孤独の中で圧倒的な強さを誇る最大のライバル。
・天雷(てんらい)・猛虎(もうこ)・百雲(ひゃくも):それぞれが相撲に命を賭ける理由を持ち、決して単なる「噛ませ犬」にならないライバルたち。
立ち合いの瞬間に鳴り響く「バチィッ!」という衝撃音の描き文字や、筋肉の躍動、汗と血が飛び散る土俵の熱気は、紙面からそのまま熱が伝わってくるような圧倒的な迫力を誇っていました。