愛と執着を手放さぬ破天荒な祈り、瀬戸内寂聴が遺した人生哲学
僧侶となった彼女の活動は、寺院の奥に閉じこもる静的なものではなかった。京都・嵯峨野に開いた曼陀羅山 寂庵では定期的に法話の会が催され、全国から人間関係や孤独に悩む人々が押し寄せた。彼女の法話は常に笑いと涙に満ち、決して上から目線のお説教になることはなかった。
さらに、住職を任された岩手県の古刹・天台寺では、荒廃していた境内を復興させ、青空説法を通じて数万人もの参拝者を集める聖地へと変貌させた。「生きることは愛すること、許すこと」。東北の澄んだ風の中で語られたそのメッセージは、傷ついた市井の人々の心を根底から癒やしていった。