【2026年ルポ】箪笥の眠りからパリコレのランウェイへ——なぜ世界のハイファッション界は「着物リメイク」を次世代ラグジュアリーと呼ぶのか
実家の片付けや遺品整理の際、最も処分に困る遺品の上位に常に挙げられるのが着物である。買い取り業者に査定を依頼しても、保存状態や市場の供給過多によって二束三文の価格が提示され、ショックを受ける遺族は少なくない。
そうした背景から、「売るくらいなら自分たちの手で着られる形に残したい」というニーズが急増している。母親が結婚式で着用した黒留袖を、娘の謝恩会や式典用のフォーマルスーツへ。父親の男物紬を、日常使いのシックなロングジレへ。思い出の品をゴミ箱に捨てるのではなく、現代のクローゼットへとスムーズにバトンタッチする選択肢として、この手法は家族の感情的心理に深く寄り添う役割を果たしている。