織田裕二はなぜ「世界陸上」を去ったのか?25年の熱狂が残した巨木な影と、スポーツ中継が失った「熱」の正体
「世界陸上」というマイナー寄りのスポーツ放映権をTBSが取得した1990年代後半、陸上競技は決してゴールデンタイムの主役ではなかった。そこに投入されたのが、当時『踊る大捜査線』で絶頂期を迎えていた織田裕二と、アナウンサーの中井美穂のコンビだった。
織田のスタイルは異端だった。客観的な分析など二の次。興奮すれば声を裏返して叫び、お気に入りの選手が負ければ本気で悔しがった。「地球に生まれてよかった!」「キター!」といった名台詞は、単なるウケ狙いではない。彼は選手名鑑を頭に叩き込み、主要選手の過去レースを何度も見返した上で、スタジアムの現場に立っていた。彼が注ぎ込んだ異常なまでの熱量が、知識のない一般視聴者をテレビの前に釘付けにしたのだ。