【2026年現地ルポ】盗難騒動から数年、福島の「へたれ ガンダム」が今も全国のファンを惹きつける理由――歪んだ鉄像に宿る人と地域の絆
この平和な鉄像が全国ニュースのトップを飾る大事件に巻き込まれたのは、2020年初夏のことだった。手に固定されていた鉄製のビームライフルが何者かによって根元から切断され、持ち去られてしまったのだ。「手ぶらで佇む悲しげな姿」が報道されると、インターネット上には激しい憤りと落胆の声が広がった。
だが、物語は予想外の展開を見せる。事件を知った全国のファンや近隣住民が、次々と現地を訪問。「丸腰じゃかわいそうだ」と、ダンボール製のライフルや巨大な水鉄砲、プラスチック製のモデルガン、さらには凝った手作りのバズーカなどを現地に置いていったのだ。日替わりで装備が変わる前代未聞の事態となり、失われた一丁の武器の代わりに届いたのは、全国からの規格外の愛情だった。最終的には地元の有志の手で強固な鉄製ライフルが新たに作られて装着され、騒動は温かな大団円を迎えた。